大崎町で第6回「OSAKINI Cafe」が開催されました

OSAKINI Cafe

大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、循環型社会の実現のため、大崎町や未来の社会に必要な評価・研究・実践を科学的知見から行うプロジェクトである「サーキューヴィレッジラボ」を展開しています。 

2023年9月29日、ラボが主催している「OSAKINI Cafe」の第6回目を実施しました。「地域の未利用資源と漁業の未来」というテーマで、有限会社昌徳丸の福留慶さんをお招きし、参加者のみなさんと一緒にお話を伺い、テーマについて考えました。

「OSAKINI Cafe」とは

様々な分野の研究者や専門家の方々と、大崎町の住民の皆様が、カフェのような感覚で、大崎町の一歩先の未来の姿をともに考え、意見交換をする月に1度のイベント。

半年間の定期開催を通じて、実現したい未来のイメージを共有するとともに、実現に向けて協働できるネットワークを広げることを目的とした場です。

ラボの所長である大岩根 尚さんが店長を、協議会のスタッフが店員を勤め、毎回ゲストをお招きして開催します。

当日の様子

今回は、ゲストも参加者もリアル参加。まずは自己紹介と参加した動機をみんなで共有するところから始まります。九州では魚釣りが趣味という方に出会う機会も多いですが、まさに魚釣りが好きで今後魚をめぐる環境がどうなっていくかに関心を寄せられている方も参加いただきました。

ゲストの福留慶さん。2023年8月から肝付町に住み、コーディネーターとして活動中。

今回のゲストの福留慶さんは、もともと県庁職員として漁業に関わられていらっしゃいましたが、「もっと浜に近いところで働きたい」と感じて、有限会社昌徳丸に転職された経歴をお持ちです。現在は、コーディネーターとして漁師さんがやりたいと思っていても手が回らないことを引き受け、主に未利用魚の活用や、ネットショップの開設、普及啓発のイベント企画運営などをされています。

まず最初は、福留さんから漁業の基本的な情報や、昌徳丸で実施している漁の方法について伺います。

昌徳丸では大型定置網という、小学校のグラウンドくらいある網を海中に設置する漁法を使って魚を捕っています。一つの魚種だけを狙う漁法ではなく、いろんな魚が獲れるそうで、獲れる魚の種類や量によって環境がどれくらい変化してきているのかを間近で感じられるそうです。

魚種によっては10年前から漁獲量が大きく減ったものも。特にイカ類は全然獲れなくなったそうです。「獲れる魚の季節感がなくなっている」との話もあり、環境の変化が海に暮らす魚にもダイレクトに影響していることが感じられるお話でした。

最近、近隣自治体に移住された方や大崎町内で事業を営む方も参加

次に、今回のテーマである未利用魚について。

昌徳丸では、今後未利用魚を販売するためのWEBサイトを作ったり、試食イベントを行ったりと未利用魚の活用を積極的に進めています。そもそもなぜ、未利用魚というものが発生し、その活用に取り組もうと思ったのかを聞かせていただきました。

未利用魚の定義は「市場で値段のつかない魚、廃棄される魚」のこと。魚はニーズの多寡によって値段がつくため、たとえ味が美味しかったとしても、認知度が低かったり、調理法が広く知られていないと、ニーズが生まれづらく、値がつかないそうです。

実は、知られていないだけで美味しい魚も獲れるのですが、漁獲量や時期が不安定なこともあり、廃棄せざるを得ないのが現状とのこと。

そこで、福留さん含む昌徳丸では、「今日手に入れた魚で今日の食卓を考える」をコンセプトに、消費者に直接未利用魚を届けるべく、ECサイトを立ち上げられました。

https://shotokumaru-uloco.com/

水揚げ後すぐに直送され、新鮮な魚が届くボックスも販売中

魚種を決めてから料理するのではなく、季節や環境に合わせて食べ物を変える。昔の日本では当たり前に行われていた食生活が、実はとてもサステナブルだったのではないかと考えさせられました。

そして今回は、実際に肝付町で獲れる未利用魚「ギンカガミ」を試食させていただきました。

参加者からは「意外と食べやすい。捨てられているなんてもったいない」という声や、「骨もカリカリに揚げたら酒のつまみにも良さそう」という声も。未利用魚が決してメジャーな魚に比べて味が劣るわけではないことを学びました。

ギンカガミの塩焼き、美味しくいただきました。

参加者の方からは「昔は、市場で余った魚を訪問販売するぼてふりさんがいた。調理方法も教えてくれる売り子だったので、現代にもそういう場や役割があれば」といった声も。

地域で獲れた魚を美味しくいただく、そんな景色が未利用魚を通じて実現できれば、もっと豊かな暮らしになりそうだと感じました。

参加者の方々の感想

ギンカガミ美味しかった。お酒に合うなと。魚が5%も廃棄されていることにびっくりしました。

知らないことも多く知れたし、漁師さんから直接話を聞けてよかった。

未利用魚の取り組みは知っていましたが、実際に取り組んでいる方の話を聞けてまだまだ知らないことがあると思った。

第6回を終え、これにてOSAKINI Cafeは一旦終了です。参加者の方々と一緒に学べたことがとてもよかったと感じていて、今後地域でなにか始める時に前提となる学びを共有していることが安心感を作っていくのではないかと思っています。

ご参加いただいた方々、本当にありがとうございました!

(文 井上雄大)

当日の様子をグラフィックレコーディングでも!

プレスリリース

  • https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000085406.html

クレジット

登壇

  • 有限会社昌徳丸 コーディネーター 福留慶様

アーカイブ

  • グラフィックレコーディング:  大保 拓弥(パッション)様
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