大崎町で第2回「OSAKINI Cafe」が開催されました

OSAKINI Cafe サーキュラーヴィレッジラボ

大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、循環型社会の実現のため、大崎町や未来の社会に必要な評価・研究・実践を科学的知見から行うプロジェクトである「サーキューヴィレッジラボ」を展開しています。

4月15日、ラボが主催している「OSAKINI Cafe」の第2回目を実施しました。当日は、「これからの農と暮らし」をテーマに、地域の特性を生かした農業や食の安全性などについて、参加者の皆様と考えました。

「OSAKINI Cafe」とは…

様々な分野の研究者や専門家の方々と、大崎町の住民の皆様が、カフェのような感覚で、大崎町の一歩先の未来の姿をともに考え、意見交換をする月に1度のイベント。

半年間の定期開催を通じて、実現したい未来のイメージを共有するとともに、実現に向けて協働できるネットワークを広げることを目的とした場です。

ラボの所長である大岩根 尚さんが店長を、協議会のスタッフが店員を勤め、毎回ゲストをお招きして開催します。

暮らしを豊かにする畑づくり

「暮らしの畑屋」橋口 創也さん

第2回のゲストは、パーマカルチャーや自然農に関する情報を発信している、「暮らしの畑屋」橋口 創也さん。YouTubeチャンネル「畑は小さな大自然!そーやん」での動画配信やオンライン講座も開催しています。

冒頭に、橋口さんの経験や自然農に対する思いをお話しいただきました。

橋口さんはドイツ留学中に自然農に触れ、有機農家の二代目として就農しました。しかし、日本において自然農で生計を立てる難しさに直面します。本質的な暮らしの豊かさについて考えた結果、生産性を優先せず、野菜や植物があるがまま育つ畑を自宅の前だけに作り、野菜を売らずに畑にまつわる情報発信をする農家に転向しました。

実際に橋口さんの体験農園を訪れてみて、子どもたちが畑で遊び回っている光景が印象的だったと大岩根所長は語ります。橋口さんの畑は、農業だけではなく食と暮らしについて考える場になっているようです。

さまざまな立場・職種の方々と考えよう

橋口さんの今までの取り組みや思いを聞いたあと、各テーブルで感想を共有し、盛り上がった話題を書き出してみました。

ご参加いただいた方々は、農家さんや飲食店経営者、家庭菜園をしている方、ご近所さんによく野菜をもらう方など、さまざま。

普段感じたり考えたりしている地域の農業・食・暮らしについて、それぞれの立場から話し合いました。

その中でも特に関心の集まったテーマが「食の安全性」です。

橋口さんは、日本では農薬は悪者で、農薬を使わないことが良いように語られることに違和感があると言います。「安定した生産や価格を考えると、農薬なしに今の農業は成り立たず、農薬を使った野菜と農薬を使っていない野菜のメリットとリスクを踏まえて選べるようになってほしい」と話しました。

また「大崎町で生産された野菜が、大崎町で消費されにくいのはなぜでしょう」という橋口さんの投げかけに対し、大崎町内で有機農業を営む「ななくさ農園」の吉岡真司さんが答えてくださいました。

ななくさ農園の吉岡さん

ななくさ農園の野菜を大崎町で販売していない一番の理由は、野菜を卸せるお店がなかなか見つからないから。以前は販売されていましたが、無農薬で手をかけているぶん他の野菜よりも販売価格が少し上がり、折り合いがつかない部分があったため、撤退したそうです。

現在、大崎町の隣の志布志市ではななくさ農園の野菜を購入できます。「大崎町でも販売できるお店があればどんどん卸していきたい」とお話しいただきました。

イベントの最後、橋口さんは「これからは、人が価値になる」と話しました。野菜を売ることの難しさを感じ、現在はYouTubeなどを通じた情報発信が収入源になっている橋口さん。しかし、情報の価値もいずれ下がると語り、思いや人柄に惹かれることで「応援したい、相手のために何かしたい」と思える関係性が大切になるとお話しし、参加者の方々も頷いていました。

食の安全性、量を供給する必要性、農業としての経営上の課題、環境への配慮、地域の特性、地域の人のつながり、暮らしの豊かさ。様々な要素が絡み合っていて簡単に答えは出ませんが、人の価値やつながりと、こうして対話ができる場を通じて、いろんなバランスをみながらよりよい地域、より良い地球環境を作っていきたいと感じさせる機会になりました。

大崎町で採れた美味しい野菜を食べながら

今回の大きなテーマは「これからの農と食」、その中の具体的な問いかけの一つは「地域全体で、自分たちの農業と暮らしをどう持続させられるか」。この問いに対して、作り手と買い手はもちろん多様な背景を持つ人同士がつながる機会も持続可能性を高める上で重要なのではないか、という仮説のもと、町内の農家さんに野菜をご提供いただき、試食や販売を通じて対話のきっかけ作りをしました。

大崎町内の有機農園である「ななくさ農園」のニンジンと、大崎町の生ごみ・草木からできた堆肥「おかえり環ちゃん」を作って野菜作りをしている「トモタカファーム」のスナップエンドウ

イベント終了後に開設した野菜の販売ブースでは、野菜を購入して農家さんたちと話をされたり、熱心に橋口さんに質問をしたりしている参加者の方々が見られ、人同士がつながる価値を実感できました。

新規就農を目指し「トモタカファーム」で修行している森田真奈さん(左)


次回は、5月13日 (土)に大崎町中央公民館 大ホールにて開催予定です。田渕 一将さん(おりなす設計室)をゲストに迎え、『子どもや孫世代に残したい住宅とは』をテーマに大崎町の未来について考えます。ぜひお越しください。

(文・インターン 髙橋知成)

当日の様子をグラフィックレコーディングでも!

プレスリリース

最前線で活躍する研究者や有識者とリサイクル率日本一の大崎町の住民が、これからの循環型社会について気軽に語らう月1イベント「OSAKINI Cafe」を3月よりスタート!

クレジット

<登壇>

暮らしの畑屋 橋口創也様

<ご協力>

ななくさ農園 吉岡真司様
トモタカファーム 関屋智誉様
志布志市地域おこし協力隊 森田真奈様

<アーカイブ>

グラフィックレコーディング:森山美里

TOP