「メグルカグプロジェクト」事例紹介|山中醤油株式会社

アップサイクル メグルカグプロジェクト 山中醤油株式会社

「メグルカグプロジェクト」とは

「メグルカグプロジェクト」は、大隅半島で廃棄予定だった大量の机・椅子を形や用途を変え、アップサイクル(*1)するプロジェクトです。大崎町SDGs推進協議会では、大崎町を中心とした周辺地域での小さな資源循環モデルを作ることを目指していて、本プロジェクトは、その第一歩です。

今回、2023年5月から木造の椅子114脚、机117台をそれぞれのアイディアで自由に活用してくださる方々を募集しました。

(*1) アップサイクルの詳しい説明や事例はこちら:講談社ウェブサイト参照(最終確認日2023年5月30日)、環境省_サスティナブルファッション(最終確認日2023年5月30日)

この記事では、廃棄予定だった机、椅子が実際にどのような形で新たに使われているのかを追跡し、アップサイクルの事例をご紹介します。

今回は、家具を小学校から引き取りに行くところからご協力をいただいている山中醤油株式会社の事例を紹介します。

デザインする醤油蔵

今回お話を聞いたのは、大崎町の隣の東串良町にお店を構える山中醤油。地域の味を守るために素材にこだわった醤油作りや、県内外の飲食店やアーティストとコラボしながら植物やビール、照明などをテーマとした企画展を催したり、醤油とデザインの両輪で、鹿児島から文化を発信する活動をされています。

アップサイクリストの山中さん(写真:左)、山中醤油株式会社 代表の村山さん(写真:右)。店内にはアップサイクルされたモノが至るところに

今回は、15年ほど前からアップサイクルを実践されている山中さんと、山中醤油の代表を務める村山さんにお話を伺いました。

アップサイクルへの思い

以前からアップサイクルをされている山中さん。もともと歴史のあるデザインが好きで、アップサイクルを始める前から、高度経済成長期以前の製品を集めていました。

そのまま廃棄されるのがもったいなく、物の見方を変えることで、捨てられるものが新しく生まれ変わるのではという思いからアップサイクルを始めました。

「山中醤油のアップサイクルのテーマは“metamorphosis”。全てのものが材料としての選択肢の一部となり、そこにデザインやアイデアを組み込むことによって、常識・認識を疑ってから造形します。

今回のプロジェクトは、時代感・既存の価値や、人間の生活のための目線にとらわれない“良いモノ”を、今の自分の目と感覚で決めて生きていける人を増やすための活動の一環と捉えています」

作品名:お祝いチェアー(写真提供:山中醤油株式会社)
(写真提供:山中醤油株式会社)

「ボウルの中に入っている猫を、下から見れたら最高にかわいいのでは」という思いから生まれた、椅子の座面にボウルが埋め込まれている作品。

作品の中には、一見するとどのように使うのか分からないものもあります。物の見方が変わることで、本来の用途とは違うものに新しく生まれ変わるおもしろさを感じます。 

作品名:スクールレコードプレイヤー
机にレコード台とアンプが、タイヤにスピーカーが埋め込まている。レコード台やアンプを入手した際は、ジャンク品だったが修理済み

まだおもしろいアイディアがあり、今後もこの作品はグレードアップしていく予定とのこと。

山中さんたちのアイディアは、まだまだたくさんあり、素材が集まった際に新しいものを制作するとのことでした。

いらなくなっても欲しい人の手に渡る社会へ

はじめから本プロジェクトに関わってくださっているお二人に、本プロジェクトへの思いもお聞きしました。

その中で印象的だったのは、廃棄するには忍びないと思う人と、それを欲しいと思う人が繋がっていくことの可能性です。

例えば、机を木片と金属の塊に分け、素材としてリサイクルするだけでなく、机のままの状態だからこそ欲しいという人へ渡っていく。そんな物の循環ができれば、よりおもしろいことができるという思いをお話しくださいました。

通常、焼却処分されていますが、まだまだ活用可能な家具はたくさんあります。

本プロジェクトが、ものづくりをする方やデザイナー、教育現場の方々などにとって価値のある提供とともに、廃棄物の削減と資源の活用法を見出す、ひとつのきっかけとなることを目指します。

(文・インターン 髙橋知成)

プレスリリース

家具をアップサイクルする「メグルカグプロジェクト」始動!廃棄予定だった椅子114脚と机117台をユニークなアイディアで利活用する団体・個人・企業を募集!

クレジット

ご協力いただいた方々

  • 山中醤油株式会社 代表 村山 立樹さま
  • 山中醤油株式会社 常務取締役 山中 賢治さま
TOP