教材検討委員会のアイデアをもとに、菱田小学校で授業が実施されました
教材検討委員会で完成した授業案
2023年1月に最終回を迎えた教材検討委員会。大崎町内7校の先生方と大崎町教育委員会、大崎町SDGs推進協議会が協力し、最終成果物が出来上がりました。
各学校で大崎町の取り組みをもとにした環境教育を、授業に取り入れる際の参考にしていただくため、委員会で議論された授業案を「リサイクル率日本一のまちにおける環境教育実践のアイデア」と題した冊子にまとめました。
そして2月8日(水)、冊子に掲載したアイデアをもとに5年生向けの授業が菱田小学校にて行われました。この記事では、当日の様子をレポートいたします。
生ごみを燃やしてみよう!
今回は、菱田小学校5学年の総合の授業時間を使い、生ごみを燃やすという体験と、ゲストティーチャーの話を聞いて考える、という探求学習の2本立てで実施しました。
大崎町では生ごみを堆肥化していますが、日本の多くの自治体では生ごみは焼却処理されています。生ごみを燃やす体験を通して、大崎町以外の自治体における生ごみ処理を体験することが狙いです。
14人の生徒たちが校庭に集まり、バーベキューコンロを見守る中、5学年の担任である石川俊昭先生が子どもたちに「この前見学に行った焼却炉では、生ごみはどうなっていたっけ?」と切り出し、実験開始です。
「コンロの上に置いたら、生ごみは燃えると思う?」という先生からの問いかけに「ちょっとは燃えるんじゃない?」や「水分を含んでいるから燃えにくいと思うけど時間をかけたら燃えそう」など、子どもたちからは様々な予想が出ます。
実際に生ごみをコンロの上に置くと、10分ほどでは全く燃えず、中に含んでいる水分が蒸気となって揮発するだけ。子どもたちからは「燃えないね」との声が出ました。
石川先生からの「焼却炉では、生ごみを燃やすためにどんな工夫をしているんだろう?」という問いかけに「乾かしてから入れる」「燃料を入れる」などの意見が聞かれました。
実際に、焼却炉によっては、水分を多く含んだ生ごみを燃やすために、重油をかけたり石油由来であるプラスチックと一緒に燃やしたりしています。
焼却炉で生ごみを燃やすのが大変だと体感した後、大崎町では生ごみを分別して堆肥化していることを思い出してもらい、「じゃあ大崎町でどうして他の自治体と違う取り組みが始まったのか聞いてみよう」と教室へ移り、子どもたちはゲストティーチャーから話を伺いました。
ゲストティーチャー・松元課長のお話
今回のゲストティーチャーは、大崎町役場で長年分別やリサイクル、海外展開などにも携わっている住民環境課長の松元昭二さん。
なぜ、大崎町は焼却炉を作らない判断をしたのか、分別を始める前の埋立処分場はどんな状態だったのかなど、大崎町の現在につながる過去の話を聞きました。
子どもたちからは事前に質問を募っており、松元課長はそれらの質問に答える形で、過去の取り組みを紹介。
20年以上前の埋立処分場が悪臭ただよう、いわゆる迷惑施設だったことや、埋立処分場のひっ迫した状況を改善するために、分別を開始して徐々に品目を増やしたこと、そして今は海外にも技術提供をして、国際的に注目されていることなどを時系列でわかりやすく説明いただきました。
地球温暖化による災害発生が増えている現状を説明する場面では、大崎町で3年前に起こった水害の様子を見て「この場所知ってる!」「家の近くだよ」などの声もあがり、地球の変化が、自らの生活に密接に結びついていることを実感したようでした。
最後に、周りの人と感想を共有。「安心安全な暮らしを大崎町で続けるために、リサイクルがどうして大切なのかがわかった」と言う児童も
今回の授業は、一連の「教材開発プロジェクト」の最後の取組でした。企画段階から1年以上時間をかけたプロジェクトの最後に、先生方と一緒に作った授業案が実際に具現化され、子どもたちに届いた様子を見てとても感銘を受けました。
教育に関わる事業は、長期的に見るともっとも大切だと考えています。今後も、大崎町だけでなく地域内外の連携を通じて、よりよい教育のあり方を模索していきたいと思っています。
(文・ディレクター 井上雄大)
プレスリリース
メディア掲載
クレジット
ご協力いただいた方々
大崎町立菱田小学校
- 5学年担任 石川 俊昭 様
- 校長 福森 真一 様
大崎町教育委員会
- 指導主事 須藤 信司 様
大崎町役場
- 住民環境課長 松元 昭二 様