あなたとおおさき未来デザイン会議 DAY5 開催レポート
令和6年11月30日より『あなたとおおさき未来デザイン会議』(以下:デザイン会議)がスタートし(主催:大崎町SDGs推進協議会)、令和7年3月にかけて「これからの大崎町の3年間をみんなで一緒に考える」をテーマにプログラムを開催してきました。今回は最終回報告会となるDAY5。デザイン会議メンバーが生成AIやデザインなどについて学びながらつくってきた企画を大崎町住民の皆さんにお披露目する場となりました。その様子をレポートしたいと思います。

<目次>
はじめに
DAY1~4までは事務局を中心に場をつくってきました。今回はデザイン会議メンバーもそれぞれ役割を担い、かつ、最終報告会に参加した町民の皆さんの想いも聞きながら、その場にいるそれぞれの視点で自分自身と大崎町の未来を描く場となりました。
企画発表を行うチームは以下の3つです。
①食・酒チーム
②場・コミュニティチーム
③ハード・空き家チーム
DAY4までのレポート記事は以下からご覧ください。
・あなたとおおさき未来デザイン会議 DAY3 開催レポート<前編>

オープニング
DAY5も『マルおおさき』にて開催。全体の進行は大崎町SDGs推進協議会・事務局の大保拓弥と坂元健太郎さん(場・コミュニティチーム)。二人より町民の皆さんにデザイン会議の趣旨やDAY4までの流れについて説明がありました。

続いては、前迫昭平さん(ハード・空き家チーム)と森本和子さん(場・コミュニティチーム)よりDAY5の目的の説明がありました。
<DAY5の目的>
・みなさんの大崎町への想いを聞きたい
・これまでの動きや企画・想いを伝えて協力者や共に動いてもらう関係性をつくりたい
・大崎町の未来についてみんなで話がしたい

みんなとおおさき未来デザイン会議①
まずは町民の皆さんと一緒にお話をする「みんなとおおさき未来デザイン会議①」。デザイン会議メンバーも入り、3人グループで以下の内容で進められました。
<話した内容>
・名前/呼ばれたい名前
・復活させたい“まちの思い出の風景”(大崎町出身でない人は、出身のまちの思い出を)<流れ>
・まずは付箋に書き出す<5分>
・グループで共有する<20分>
同じ大崎町でも世代や育った地域によって“まちの思い出の風景”もそれぞれで、20分の時間が過ぎても話が尽きませんでした。




ワークショップメンバーより企画発表
続いては企画発表へ。発表内容をレポートする前にまずデザイン会議メンバーが大切にしたい想いや問いを先に伝えたいと思います。
<デザイン会議メンバーの想い>
・3つのチームともそれぞれの企画は違うが、向いている方向性は一緒(ビジョンは同じ)である。
・「1本のストーリーとして」「1つのチームとして」聞いてもらいたい。

<3つのチームの問い>
・食材がすごく豊かな大崎町。でも「食」は豊かか?(食・酒チーム)
・隣に座っている人のことをどのくらい知っているか?(場・コミュニティチーム)
・デザインにはどんな力があると思うか?(ハード・空き家チーム)

まずは、食・酒チームから。
「大崎町の食材を食べる機会が少ないのではないか?」
「忙しさなどもあり、そもそも食に意識が向けられていないのではないか?」
「食の宝庫といわれる大崎町の食に対して、余裕をもって意識が向けられる仕掛けが必要なのではないか?」
上記3点の仮説をもとにチームとして着目したのが「朝ごはん」でした。

企画名は「ときドキ朝ごはん 」。
忙しい中でもまずは朝ごはんから見直せたら。それを月に1回、大崎町の美味しい食材を使った朝ごはんを食べながら豊かな食について考えてみたい。そんな想いで企画を考えたといいます。

「企画を通して、食材そのものだったり、郷土料理だったり、文化だったりを見つめ直す・引き継ぐ役割も担えたらと思っています。世代や立場など関係なく、どの世代の皆さんとも食卓を囲んでいけたら嬉しいです。」
プレゼン後、早速、第1回の開催日も発表がありました。どんな食卓になるのか、とても楽しみです。



続いては 「場・コミュニティチーム」のプレゼン。
チームの問いをもとに企画に対する想いが冒頭語られました。
「デザイン会議メンバーはDAY1の時は面識がない人ばかりだったのですが、回を重ねるにつれて気軽に声をかけられる関係性になりました。メンバーの想いや今まで知らなかったまちの新しい一面を知り、どんどん大崎町のことが好きになりました。」
「気づいたのはまちに仲間がいて、お互い応援し合える存在がいることが豊かな暮らしに繋がるのではないかということでした。その豊かさがあれば、まちの中でさらにワクワクするものが生まれるんじゃないかと考え、企画をつくりました。」

そこで着目したのが「聞いちょらんよ」(※1)。
まちで何かしら動こうとすると、この言葉の壁にぶつかる人は多いといいます。しかし、そのネガティブな声にも聞こえるこの言葉を「知りたい・関わりたいの想いの表れではないか」とプラスに捉え、企画をつくったといいます。
その名も「世界スナック」。
「想いがあれば分断が生まれるのは前提として、それを対立ではなく、協調や協力というふうに置き換えられるコミュニケーションの場を考えてみました。そこから生まれたのが世界スナックです。」
(※1)鹿児島弁で「(そんな話)聞いていないよ」という意味。

「デザイン会議は私たちにとって、気軽に自分の想いを話せて、楽しいからこそ毎回立ち寄れるような存在となった一つの居場所でした。それは日本独特の文化であるスナックに似ていると感じたんです。」
“世界”には「境界線を越えて、誰でも参加してほしい」という想いを込めたのだとか。さらに単に楽しく話をするだけでなく、話したことが実現できるような応援機能を備え、毎回場所を変えながら大崎町内各地で開催できるように考えているそうです。
こちらの企画も4月1日に第1回を開催すると宣言がありました。そこからどのような場やワクワクが生まれていくのか。気になる方はぜひご参加ください。



最後は「ハード・空き家チーム」のプレゼン。一つの問いかけから始まりました。
「おしゃれなまちって、どんなまちだと思いますか?」
その問いかけに対する出した仮説として
「まちの風景にテーマ性が必要なのではないか?」
「地域特性を生かした独自性を出すことで、魅力的なまちと映ることでいろんな人が訪れるおしゃれなまちになるのではないか?」
「まちの良さを見つめて掘り起こし、設計思想を持ち、まち全体をブランディングしていくことが大事なのではないか?」
この3つを挙げました。
大崎町が特化しているものは何なのか。辿り着いた答えは「リサイクル率・日本一のまち」「循環のまち」だったといいます。

大崎町の企業や事業者、行政が既に取り組んでいることにデザインの視点を加えることで、リサイクルすることをわかりやすく伝え「リサイクル率・日本一のまち」「循環のまち」を体現したい。活動を通して多くの人に大崎町に来てもらいたい。そんな想いから生まれたのが「デザイくる」でした。
デザインとリサイクルを掛け合わせ、循環をイメージさせた言葉なのだとか。廃材や端材といった資源を地域内で活用することにより、処理業者の産業廃棄物取引コスト削減や運搬にかかるCO2削減にも繋がると考えているそうです。
また公共空間に廃材などを活用したベンチを設置することでデザイン性が高まり、人が集まる仕掛けにもなるのではないかと言葉がありました。

また、スモールステップとして廃材などを活用し、デザイン性を揃えた屋台が並ぶマーケットを考えているそう。
「デザイくるを通し、さまざまな世代が訪れ、まちを散策する風景をつくっていけるのではないかと考えています。このような風景をつくることで、小さなことから始めたい誰かの背中を押すきっかけにもなると思うんです。」
現在、廃材などを集積する拠点を探しているとのことで、町民の皆さんに空き家や倉庫の情報提供の声かけが最後にありました。もし、情報もですが、拠点の貸し出しができる方がいらしたらぜひご協力いただけたら幸いです。




みんなとおおさき未来デザイン会議②
企画発表を踏まえて「みんなとおおさき未来デザイン会議②」。対話をすることで、一緒に大崎町の未来をカタチにできたらというのが目的です。
<話した内容>※①と同じグループにて
・今日の発表を聞いてどうだったか?
・これからどんな大崎町になってほしいか?
→まずは付箋に書き出す(5分)
→グループで共有する(25分)
町民の皆さんの想いも加わることで、違った視点のアイデアなどの話にもなり、さらに新しいまちの可能性を感じる時間にもなりました。DAY5が始まる直前は緊張した面持ちのメンバーでしたが、対話の時間を通し、安堵した表情に変わったように感じました。




クロージング
デザイン会議はついにクライマックスへ。その前に、今回、仕事の都合でDAY5に参加できなかったメンバーの宮本佳苗さん(食・酒チーム)のインタビュー動画が公開されました。
デザイン会議を通し、まちを想う仲間と出会ったことで、大崎町に対する思い入れが強まり、将来的にはまちに貢献できる活動をしてみたいと思うようになったのだとか。
同じメンバーでお母さんの宮本美和子さん(場・コミュニティチーム)とともにデザイン会議に参加する前と後の変化を語ってくれました。
「デザイン会議に参加する前は大崎町には何もないと思っていました。でも、参加してみるとそんなことはなくて、何もないと思っていたまちをワクワクに変えてくれる素敵な人たちの存在を知ることができました。このまちにはたくさんの希望と楽しい未来が待っているんだ。心の底からそう思えた時間でした。」(佳苗さん)
「皆さんとの対話を通して、それぞれの想いに触れることでデザイン会議メンバーや大崎町のことが一層好きになりました。だからこそ、大崎町はもっと温かいまちになると感じています。個人的にはまちの先輩たちの知恵や技術をもっと教わりたいですし、そこをきちんと残していけるようにしたい。そんな気持ちも強くなりました。」(美和子さん)

続いてはデザイン会議メンバーを代表し、大保と諸木昭太さん(ハード・空き家チーム)からそれぞれ挨拶がありました。
「デザイン会議が始まる前にどんな未来をつくりたいか考えた時、メンバーや町民の皆さんが一緒に肩を組んでいる状態をイメージしました。それが“あなたとおおさき未来デザイン会議”というネーミングの由来になったんです。デザイン会議を通して、顔が思い浮かぶ人たちが増えましたし、その人たちのためにもっと頑張りたいと思えるようになりました。これは僕の中で一つの大きな変化だと思います。」(大保)

「大崎町にはまちのことを想うたくさんの人たちがいらっしゃいます。皆さん、考え方は様々ですが、コミュニケーションをとりながら手を取り合い、まちの未来を考えていきたいと思えたデザイン会議でした。まずは私たち自身が楽しむことが大事かなと思います。一緒に楽しいまちにしていきたいので、ぜひともご協力をよろしくお願いします。」(諸木さん)

最後に東町長より講評をいただきました。
「大崎町内の様々な立場や職種の皆さんが信頼関係を築きながら、まちの未来について具体的に提言いただき、熱量と本気度が伝わってきました。単なる対話ではない、デザインという切り口を通して、まちのにぎわいづくりを進めていけるのは非常に嬉しいことです。」

最後は町民の皆さんを交えての集合写真。ご参加いただいた皆さんありがとうございました。

振り返り
DAY5終了後、デザイン会議メンバーのみで振り返り会を行いました。故郷や大崎町に対する想い、自分自身のことなど、各々が感じた数ヶ月の変化について語り合いました。
<メンバーの声(一部抜粋)>
・目に見えない心の繋がりがどんどん濃くなったのを感じた。この繋がりや熱量がまちに伝播していくように、地道に活動を続けていこうと思った。
・想いだけでなく、熱量と本気度が伝われば人の心を動かせるという対話の可能性を体感できた。まず、このデザイン会議という場があり、参加できたこと自体が大きな収穫だった。
・生まれたまちの人やコトと繋がり、深く知ることで大崎町への想いがさらに強まった。想いがあるメンバーと今後も協働し、ワクワクする挑戦的なまちにしていくのが楽しみである。
・新しいものを生み出さなくても、既存のものを残すだったり、違う視点で活用するということを学べた。それによって、まちの宝に気づけた。


デザイン会議自体はDAY5をもって終了ですが、企画したメンバーたちの活動はこれからです。ただ、メンバーの力だけではできないこともたくさんあります。企画をカタチにしていくためには多くの人のサポートが必要です。デザイン会議という場だけでなく、今後も一人ひとりとの対話を大事にし、大崎町のワクワクする未来をみんなでつくっていけたら嬉しいです。

参加者の声
・色んな立場の人が大崎町を良くしたいと考えているのを知れてワクワクしました!こんな「場」がどんどん増えたら最高です!
・DAY5を終えて改めて今日からが始まりです。考えたプロジェクトをベースに大崎町に関わる人たちを巻き込んで大崎町をデザインしていけば、面白く楽しいものが出来るはずです。
取材・執筆・撮影:上 泰寿(ケアの編集者)
当日の様子をまとめたパネル

クレジット
アーカイブ
- 取材・執筆・撮影:上 泰寿様(ケアの編集者)
- パネル制作:中原 未央様(合作株式会社)