サーキュラーヴィレッジ・大崎町の推進に向け山形県鶴岡市の取り組みを視察しました
大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、すべての資源が循環する町を目指してサーキュラーヴィレッジ・大崎町の推進に取り組んでいます。
今回は、民間の立場から山形県庄内エリアで街づくりや地域課題解決にいどむヤマガタデザイン株式会社(以下、ヤマガタデザイン)の取り組みや、行政の政策について学ぶためにうかがいました。
食の都 鶴岡市
今回視察で訪れた鶴岡市は、山形県庄内地方の南部に位置する、人口約12万人の自治体です。鶴岡市は、2014年12月には、ユネスコの「創造都市ネットワーク」のひとつ、食文化(ガストロノミー)部門に、日本で初めて加盟が承認された場所であり、「食」にまつわるさまざまな取り組みが実施されています。
訪れてまずはじめに鶴岡市役所の総務部総務課の前田 哲佳さんと企画部政策企画課の藤原 萌花さんから、鶴岡市のSDGs未来都市に関わる取り組みと、鶴岡サイエンスパークについて、その変遷から官民連携における行政側の姿勢についてうかがい、「民間事業者が活動しやすくなるように整理する」という姿勢に感銘を受けました。
打ち合わせ風景
また、鶴岡市は日本で初めてユネスコ食文化創造都市に認定されました。そこで、ガストロノミーツーリズムという新たな観光に力を入れており、特に「鶴岡ふうどガイド」という地域の方々が鶴岡の食・風土を学び様々なツアーの企画・運営を行う制度が生まれたことが特徴です。
そこで、ユネスコ認定から鶴岡ふうどガイドの実現、そして現在も鶴岡市の観光関連事業に取り組む一般社団法人 DEGAM鶴岡ツーリズムビューローの中野 律さんに話をうかがいました。
市民が仕事として自ら取り組むことを促す仕組みで、ツアーを通して鶴岡市の食文化・風土が深堀され続けている取り組みになっていてとても参考になりました。
ヤマガタデザイン視察ツアー
ヤマガタデザインの視察ツアーに参加し、ヤマガタデザイン創設から現在進められているさまざまな事業や、ヤマガタデザインが運営する2つの施設(ホテル:スイデンテラス、子育て支援施設:SORAI)の見学を行いました。
ヤマガタデザインは、観光・教育・人材・農業の多岐にわたる事業を通して地域課題解決に挑む民間企業です。2014年に設立し、現在約120名程度の雇用を生み出しており、そのビジョンの描き方・着眼点を学ばせていただきました。
BISTRO下水道の視察
鶴岡市では官民での様々なSDGsに関する取り組みが実施されています。今回、その取り組みの一つであるBISTRO下水道に関して視察させていただきました。
BISTRO下水道は、2013年に国土交通省と日本下水道協会が主導して始まり、鶴岡市は先進地域の一つと位置づけられています。
鶴岡市では下水道浄化センターにて発生した藻やガス、またコンポストを様々な方法で活用できるよう実証実験を行っています。
視察実施のタイミングでは「あゆの養殖」が進められていました。
下水道処理という公共インフラを有効活用する柔軟性はさまざま施設づくりのヒントになると感じました。
2日間滞在を通して、鶴岡市やヤマガタデザインの取り組みの熱量を肌で感じることができました。
鶴岡市の政策においては、ユネスコ認定を背景に地域の特性の活かし方、それらを情報として示し地域全体での盛り上がりを作っている手法が参考になりました。
ヤマガタデザインは、ハード整備から様々なソフト事業へ活躍の幅を広げ続けていて、庄内エリアをモデルに全国的にも可能性を強く感じる取り組みが多くあり、それら一つ一つが大崎町での事業の広げ方の参考になりました。
協議会では今、資源ごみの分別体験ができる宿泊施設「OSAKINI BASE」の建設を進めています。
この建物から、どのように学びの素材を作り、人との交流を育むかなどといったソフト事業に発展させるために、
今後も鶴岡市の方々から様々な先進的な取り組みを学びながら、活かしていきたいと思います。
(文・建築・設計担当 遠矢将)
クレジット
ご協力いただいた方々
- 鶴岡市総務部総務課庶務係長 前田 哲佳様
- 鶴岡市企画部政策企画課 専門員 藤原 萌花様
- 一般社団法人 DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー 事業グループ 中野 律様
- ヤマガタデザイン株式会社 街づくり推進室 齋藤 真美様
- 鶴岡市上下水道部 下水道課浄化センター 主任 佐藤 拓哉様