長崎県対馬市が、大崎リサイクルシステム研修プログラムに参加しました

展開

大崎町SDGs推進協議会(以下、協議会)では、リサイクル率80%以上を誇る大崎リサイクルシステムを他の自治体でも実践することを通じて、大崎町だけでなく社会全体で環境負荷を減らすことを目指しています。

2023年6月には、大崎リサイクルシステムの中でも生ごみの堆肥化を実践したい自治体を募集する公募を出しました。

地域で発生する生ごみの堆肥化を資源リサイクル率14回日本一の大崎町で学び、実践する自治体募集!

本募集は、実践する自治体側のハードルを下げるために、研修プログラム参加費や実証実験にかかる費用を、企業版ふるさと納税を活動原資としている協議会が負担するものです。

公募の結果、最初の自治体として長崎県対馬市が決定し、2023年7月5日(水)〜7日(金)において対馬市の方々に、生ごみ堆肥化の技術を学ぶ研修プログラムにご参加いただきました。

今回は、研修プログラムの様子をご紹介します!

研修プログラム行程について

生ごみ堆肥化の原理と作業内容を学んでいただくために、2泊3日の研修プログラムを準備しました。

行程表

7月5日(水)午後大崎町到着
7月6日(木)午前住民が資源ごみを出す様子見学
生ごみ回収作業帯同
埋立処分場見学
午後大崎有機工場見学
手作業で堆肥を仕込む体験
7月7日(金)午前重機で堆肥を仕込む体験
午後今後の計画について検討
大崎町出発

対馬市からご参加いただいた方々

対馬市からは行政職員として、対馬市役所市民生活部環境政策課の龍井魁都さん、そして現場担当として対馬農業協同組合の長瀬善彦さんと服部和也さんの3名にご参加いただきました。

大崎町で学んでいただいたことをすぐに実践に移してもらえるよう、特に現場のリーダーとなる方々にお越しいただきました。

まずは手作業で生ごみが分解していく原理を学ぶ

そおリサイクルセンターの中村善彦さんより指導を受けている様子

大崎町の生ごみ堆肥は、生ごみと草木を混ぜ合わせ、草木に付着している土着の菌が生ごみを分解することによってできています。

この低コストかつシンプルな仕組みを取り入れるには、土着の菌にとって、どんな環境が最適かを把握することが重要です。

堆肥が発酵するための3つの要素

土着の菌に最大限のパワーを発揮してもらうには、空気・水・栄養を押さえることがポイントです。

その3つの要素を体感してもらうために、まずは手作業で生ごみと草木を混ぜ合わせる作業を行っていただきました。

まずはじめに、菌の餌となる生ごみを床に広げます。

塊が大きすぎると分解が遅くなるため、スコップなどでザクザクと細かくしていきます。

その後草木を混ぜ合わせていき、水分調整を行います。

水分が多いと腐敗しやすいため、草木を混ぜ合わせて適切な水分量に近づけていきます。

ある程度生ごみと草木が混ざったら、水分量を60%に調整して行きます。

目安としては、塊をぎゅっと握った時に、少しくっつくけど、そのあとふわっと広がるぐらいです。

そして山に積み上げて行きますが、この時しっかりと空気が入るように上からふりかけるように山にすることがポイントです。

生ごみと草木が上手く混ざり、空気を良い具合に含ませられると、温度計を差して間もなく温度が上がり始めます。

この時は、生ごみ約150kg、草木約150kgの合計300kgの堆肥の山を仕込むことができました。

作業としてはとてもシンプルですが、菌が生ごみを分解していく原理はとても奥深いです。

最終日は実際の作業を想定した体験を

最終日は、対馬に戻った後の作業を想定して、ホイールローダーに乗っての攪拌作業を行いました。

手作業で行った時と同様、空気を含ませるように混ぜる作業を体験していただきました。

なぜ対馬市は生ごみ堆肥化に取り組むのか

実は対馬市ではすでに、大型の生ごみ乾燥機を使う形で家庭から出る生ごみの堆肥化を行っています。

一方で、今できている堆肥が未完熟であること、そして大崎リサイクルシステムと比較した時に、コストがかかっていることから、大崎方式での生ごみ堆肥化を検討いただいています。

また、対馬市では現時点で多くの生ごみは可燃ごみとして焼却しています。堆肥化を通じて燃やす生ごみを減らすことができれば、現在助燃剤として使用している白灯油の使用量も減らすことができ、コスト削減に加えて脱炭素効果の可能性も見えてきています。

対馬市の生ごみ堆肥化施設の様子

今後に向けて

研修プログラムの最後の振り返り会では、参加いただいた対馬市の方々から次のようなコメントをいただきました。

生ごみのバケツを見て開けてみたらしっかりと水切りされていてびっくりした(服部和也さん)

(対馬市の堆肥化施設では)班長をしているので、自分のところの職場環境との比較をすると、大崎町のあれだけ広いところをよく綺麗にしているなと思った。職員の方々の意識の高さも感じられた(長瀬善彦さん)

青いバケツで回収する方式は理想的だと思った。対馬は加入者欲しさにステーションを乱立させているような形。対馬では歩いてごみを出すのが当たり前になってしまったので、ステーション回収にしてしまうと距離が遠くなり住民のご理解をいただくのが難しいのでどう広めていくか考えたい(龍井魁都さん)

対馬市で実験を行う場合の堆肥舎内での仕切りをどうするかなどの検討も進めている(対馬市作成)

今後対馬市では、2023年8月から2024年1月にかけて生ごみ堆肥化の実証実験を予定しています。また、2023年の10月には住民も巻き込む形で、大崎方式での生ごみ回収実証実験を予定しています。

今回が協議会としては、はじめての実証実験のコーディネートとなります。

生ごみ堆肥化が対馬市の住民に受け入れられ、根付くような取り組みになるよう、地域の特性などに即した実験を進められたらと思います。

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協議会では、大崎リサイクルシステムのうち生ごみ堆肥化を実践したい自治体を引き続き募集しています。興味のある方はぜひご連絡ください。

(文・企業連携担当 藤田香澄)

プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000085406.html

クレジット

ご参加いただいた方々

  • 対馬市役所 市民生活部 環境政策課 龍井魁都様
  • 対馬農業協同組合 長瀬善彦様
  • 対馬農業協同組合 服部和也様

協働した方々

  • 大崎町役場 環境政策課 課長補佐 竹原静史様
  • 大崎町役場 環境政策課 課長補佐 東水流幸一様
  • 有限会社そおリサイクルセンター 部長 湯地浩幸様
  • 有限会社そおリサイクルセンター リーダー 中村善彦様
  • 有限会社そおリサイクルセンター 海外事業部 松井嘉彦様
  • 有限会社そおリサイクルセンター 海外事業部 後藤良太様
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