あなたとおおさき未来デザイン会議 DAY2 開催レポート
令和6年11月30日より『あなたとおおさき未来デザイン会議』がスタートし(主催:大崎町SDGs推進協議会)、来年3月までかけて「これからの大崎町の3年間をみんなで一緒に考える」をテーマにプログラムを開催中です。今回は12月8日に開催されましたDAY2のレポートになります。
<目次>
オープニング
DAY2は舞台を変え『あるぱる大崎』にて開催。DAY1で同じ時間を共有したメンバーが参加しました。
はじめに、大崎町SDGs推進協議会・事務局の大保拓弥より、DAY1の振り返りとDAY2の目的・流れの説明がありました。目的については以下の通りです。
<DAY2の目的>
・プレデザインの考え方を学ぼう!
・プレデザインを活用して課題を掘り下げよう!
・取り組みたいテーマの解像度を高めよう!
チェックイン
オープニング後は、4~5人のグループに分かれてチェックインへ。今回はデザインがテーマということで、参加者それぞれがイメージする「デザインとは?」を共有する時間も設けました。
参加者からは
・遠い存在と感じている
・個性を表現するもの
・情報を整理するもの
・興味を持ってもらうための手段…etc
と多くの意見が出ました。こちらを受けて、ゲストのレクチャーがスタートです。
レクチャー(前半)
レクチャーは株式会社TSUZUKU代表取締役でデザイナーの久保雄太さん。テーマは「デザインとプレデザインについて」という内容で話が展開されました。
<久保雄太さん プロフィール>
株式会社TSUZUKU 代表取締役 / デザイナー
1983年鹿児島市生まれ。多様なプロジェクトのプランニング、ディレクションおよび伴走するデザイナーの役割を担います。ここ数年は、目に見えるものだけでなく、見えない本質をつかみ、うごかすためのデザインを必要とされる機会が増えてきました。人が生き生きと力を尽くしていけることを可能とするデザインのあり方を探究しています。人生2度目の「走ること」に夢中。https://tzk.co.jp/
https://www.instagram.com/tsuzukudesign/
冒頭ではデザイナーになるまでの変遷、そして、デザイナーとして現在どのような活動をされているのかのお話がありました。
「TSUZUKUという言葉にはアイデアやモノをつくっていく継続性はもちろん、つくったその後にいろいろな人に繋がり伝わっていくこと、記憶をとおしてデザインがつづいていくこと、形や役割を変えてつづいていくことなど、何かを生み出していく多様なイメージを想像させてくれます。」
「一緒に考え、つくったものが、使い手の生活の中で、何かにつながりつづいていく、そんな想いでデザインに取り組んでいます。」
続いて、久保さんがデザイナーとして磨いていきたい力について。
「本質に近づく力、聴く力、聴きつづける力、一緒に走りつづける力が特に必要かなと思います。本質を掴んでいないと表層的なデザインになってしまいます。だからこそ、本質的なところをぎゅっと掴むために相手と一緒に潜って深めてつくるというところを大事にしています。」
その後、プレデザインの話へ。
デザインをする前に
・本当に必要なことは何なのか
・本質的な課題は何なのか
それらを明らかにし、自分自身や事業、取り組みに対して丁寧に内省をしていくことが大事だといいます。それが下記の写真に記載されているフロー「0」の箇所になります。その上で一緒に何が必要かを考えるフロー「1」へ。「0→1」の行程がプレデザインを捉えており、デザイナーでなくとも課題を整理するのが得意な人と行うのがオススメなのだとか。
“何のためのデザインなのか?そのデザインをどう使っていくのか?”
“クライアントのために自分ができることは何なのか?”
これは久保さんがデザインの仕事をする中で立ち止まった時に自身に問いかける言葉だそうです。その際に原点に立ち戻れる言葉や参考にしている本などを共有してくれました。
参加者共有
レクチャー前半を終え、グループメンバーで感想の共有の時間があり、レクチャー後半がスタートしました。
レクチャー(後半)
「本質的な課題は何かというところと向き合うスイッチが自分の頭の中にあるかどうか。それさえ入るようになれば、今日の目的は達成です。」
「デザインの仕事をしていると“きく力”というのがとても大事だと思っています。本質的な課題やものに近づいていくためには一緒に相手の内面に潜っていき“ききつづける力”が重要になってきます。」
携帯でたとえると「OS(※)をアップデートしていく」を挙げ、見て・聴いてなどを通して自分自身の感じる力を高めていくことの重要性を説明されました。
(※)コンピューターやスマホを動かすための基本的なソフトウェアのこと。
その流れでインタビュー(interview)の話へ。
「インタビューの語源は“互いに見合う・一緒に眺める”です。その上で、聴き手が聴きたいことを聴くのではなく、相手の中に一緒に入っていくことが大事なんです。」
「きく力があれば、本質的なところを引き出せますし、デザインもより本質的に迫っていけます。さらに相手の信頼にも繋がります。」
その後、自身が携わった事例をいくつか紹介。その上でリンゴの木を例に挙げ、デザイナーの役割についてお話してくださいました。
「リンゴがもっと美味しくなることもですし、生活者にファンになってもらい、長く買いつづけてもらうこと、そして、長く美味しいリンゴをつくりつづけられることも大事です。その上で良い土壌でつくられているかどうかが肝になってくると考えています。」
「会社でいえば、歴史だったり価値観、ビジョン、技術だったりもしますし、経営者や働き手のマインドにも繋がってくると思います。経営者はその土壌をフカフカと良くさせて、社内外の循環を巡らせていく、あるいは発酵させていく。そんなイメージかなと。」
リンゴの木の話を踏まえてデザインに対する考え方を共有し、レクチャーを締めくくりました。
「プレデザインも含めて、デザインの力を使っていろいろな土壌をフカフカにしていきたい。ここ数年そう感じています。」
「デザインをすることや何かをつくることを目的にしないこと。生み出したい変化は何なのかを問い続け、それが誰のためのものなのかを考えていることをデザイナーとして活動していく上で常に意識しています。」
ワーク(ペアインタビュー)
続いてはワークへ。レクチャーの内容を踏まえ、ペアインタビューが行われました。
今回のペアインタビューは
・一人につき20分ずつ
・聴き手がワークシートを埋めていく
・ペアインタビュー終了後、お互いにワークシートを交換する
久保さんからは
「今回のプログラムにおいて、どんなテーマに関心があるか。それをお互いにインタビューしていくイメージです。」
「一つだけじゃなくても大丈夫です。どうして、それに関心を持ったのかをペアの人と一緒に深掘りをする時間にしてほしいです。」
「本質的な課題や取り組みたいことが何なのか。それが少し具体的になると、DAY3以降の解像度も非常に上がり、日々の過ごし方も変わってくると思います。」
まとめ
まとめではグループで今日の感想を共有する時間があり、その後、次回の案内がありました。
そして、DAY2の締めくくりを久保さんからいただきました。
「日々生きていると、自分自身も含めていろんな人の想いに関わってきます。その中で、想像したり、見たり、聴いたりしながらそれぞれの本質を探っていくようになってもらえたら嬉しいです。」
「この場に集まっている皆さんもですが、大崎町で生きる一人ひとりの素晴らしい動きが混ざり合っているからこそ、このまちの空気感が発酵されているのではないかと感じました。今後のさらなる展開が楽しみです。」
参加者の声
・デザインの基本的なことを学べたのはもちろんですが、そもそも大切な所『きく』ことの大切さと、そのための自分自身の感覚を研ぎ澄ますことに気づかせていただきました。
・大崎町に住む人の中で、心に青い炎を沸々と燃やしている方々とお話できると、この街への希望を感じます。また普段から注目しているデザイナーの久保さんが大崎町に来てレクチャーをしてくださることもこの街の未来はつながるな、と強く思えました。
取材・執筆・撮影:上 泰寿(ケアの編集者)
クレジット
登壇
- 株式会社TSUZUKU 代表取締役 久保 雄太様
アーカイブ
- 取材・執筆・撮影:上 泰寿様(ケアの編集者)
- パネル制作:中原 未央様(合作株式会社)